成長の実感
田舎から都会に出て来たときは、見るものすべてが刺激的で、毎日どんどん新しいことを吸収していった。
18歳から20代の前半まで、おそらく大学院で留学していたころまでは、毎日何かしら成長を実感できていたと思う。今日は新しいことを覚えた、新しい人と出会った、新しい場所に行った・・・
それが、社会人になってから実感できなくなってきたことに気がついた。もちろん、仕事をするなかで新しいことを覚え、人と出会い、行ったことのない場所にも行くのだが、インプットというよりはアウトプット、大学院までの経験を総動員して問題を処理している感じだ。
それは大学院までの教育システムとしては大成功、なのかもしれないが、一方で成長が止まってしまったような、寂しさや焦りを感じていた。
展覧会に行ってみても、映画を見てみても、何か今までに見たもののバリエーションのひとつという感じで、いま俺は成長しているぞ!という実感がない。
そんなとき、唯一、自分の成長が及んでいない分野を見つけた。
それは「家事」である。
これまで本当に料理もほとんどしてこなかったから、少し工夫できたというだけで、何かを成し遂げた気分になるのだ。
休日に予定がない、と嘆く必要ももうない。休日は家にいて、家事の技術をどんどん磨けばいいのだ。